ヒカシュー「転々」

久々にハードオフでジャンクCDをドカ買いし、家に帰ってくると、ヒカシューの新作「転々」が届いていた。

http://www.makigami.com/mkr/tenten.html

早速聞く。全編、即興である。ヒカシューの音源持っている方々に説明するなら、全編「仏の入り口」や「低音無頼」、「かしわで」みたいな感じ。あるいは「クチノハ」にバンド演奏をのっけた感じといえばいいか。
ロディアスな重低音ベースが這い回り、発狂したかのごときギターがかき鳴らされ、細切れに解体されたサンプラーが飛び散り、テルミンが脳味噌に蝿がたかっているかのごとく粘りつき、重いジャズドラムが拡散しかねないそれらの音を地面にかろうじて括りつけている。さらにその上を支配するかのごとく乗る巻上さんの圧倒的な声。妙にでかく生々しくミックスされていて、例によってホーメイやヴォーカリゼーション、スクリーム、語りがフィーチャーされる。
しかし、これで即興の重さとか聴きづらさがないのがなんだこれ?メロディ(もちろん即興だけど)とリズム、日本語の歌詞(やっぱり即興だよ)があれば「ポップス」が成立するのならば、これだって十分に「ポップな」アルバムだ。即興でポップ!?ありえないけど聞いた印象がそうなんだよ!
ポップだというが、ヒカシューのパブリックイメージである「テクノポップ」の音など微塵もありゃしない(そもそも「うわさの人類」でそんなもんとっくに捨てている!)。ヒカシューテクノポップバンドといっている奴らは、これを聞いて度肝抜かれるでしょう。こういう音楽聴きもしないだろうが。
リピート再生するのは厳しいかもしれないが、思い出したように聴きたくなるアルバムにはなるだろう。あと、歌詞カードも凄まじいことになっているので、これも見るべし。