まんだらけに久々に行く。

ゾッキ本に目が行くようになってきてから、限定やらプレミアとか言うものに全く興味をなくしている自分がいた。

そんなものに金をかけてなんになる?
誰がこんなものに値段をつけるんだ?
新品を正規の値段で買えばいいだろ。
なんにもマージン発生しないんだぞ。
どうせ転売して儲けるつもりだろう。
そんなんで経済が動くわけねぇだろ。

ぐるぐる頭を巡る。なんか…いやな汗が出てきた。背中や脇下に汗を感じる。冷房が効き過ぎて、鳥肌立ちそうになりつつ、声優ソングやアニメソングが延々流れる店内を回り、岡崎京子の漫画に出てきそうな肥えた醜女に目をそらし、隣のリュックを背負ったくせ毛の男の体臭に咽びかけ、フィギュアやアニメグッズが所狭しと並ぶ、ガラス棚のうしろにある鏡に映る自分を目をやる…たるんだ頬、少しはげた額に刻まれたしわ、眉間のしわ、目元にカラスのお灸…にもかかわらず目を刺すようなコバルトブルーのTシャツを着ている…

誰だ…この中年男は?

奥歯が鳴る…これは冷房の効き過ぎた店内だけが理由ではない…はず。ここにいてはいけない。そんな感覚に襲われて、逃げるようにまんだらけを去った。そ、そうだ、はす向かいに古本屋がある…そこへ行こう…しかし…シャッターが容赦なく俺を遮った。

ゾッキ本を扱っている店がどんどん減っている。打ち捨てられたものの中にお宝を探したいのに。