マトリクス再び。

昔、X軸を一般男子⇔ヲタ男子、Y軸を一般女子⇔腐女子として、芳文社の漫画雑誌の読者層をマトリクス化したことがあるが、まんがタイムラブリーがリニューアルしたのを機に再びやってみる。あくまで2011年2月現在の各誌連載陣を見たうえでの、俺の独断と偏見である。前回は手書きだったが、今回はillustrator使ったぞ。時間かかってしょうがなかったわ!

各マトリクスの解説していく。

  • まんがタイムきららグループ誌(マトリクス上ではきらら一連。以下同様):言わずもがな(笑)。しかし、ここまで他の読者層を近づけさせないガラパゴス状態&作家の飽和状態だと、逆にファミリー系や新ラブリーに接近した雑誌作りになるかもしれないなと勘ぐったり。
  • 週刊漫画Times週刊漫画Times):これも言わずもがな(笑)。とはいえ、板倉梓を月イチ連載させたりしているあたり、オッサンになったきらら読者にも目配せしている感もある。
  • 花音グループ誌(花音一連):やっぱり言わずもがな(笑)。
  • 本当にあった(生)ここだけの話グループ誌(まる生一連):オバハン向け雑誌かと思ったら、意外と男性の投稿者(10代もいる!)が多く見受けられる。…と、このように、芳文社は四方にガッチリと読者層を掴んでいることがわかった。そのガッチガチの層の中間を担っているのがファミリー系4コマ誌なのだ。
  • まんがタイム(タイム):オタクでない一般読者向けという点ではこの雑誌が一番バランスが取れていると思う。ま、要はオッサンとオバハン向けということですな。植田まさしが看板でいる限りは、この雑誌の方向性は揺るがない。
  • まんがタイムオリジナル(タイオリ):萌え系でない他誌(4コマ、ストーリー共に)の読者が、芳文社のファミリー4コマを受け入れられるか…そんなパッチテスト的役割をこの雑誌が担っていると俺は常に思っている。ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」とむんこ「らいか・デイズ」あたりがいいと感じたら、おめでとう。あなたは他の芳文社のファミリー4コマを受け入れられるでしょう。
  • まんがタイムファミリー(タイファミ):タイムグループ誌の中では最も人畜無害なほのぼのした作風が多い。竹書房まんがライフオリジナルみたいな立ち位置。もともと主婦向けだったので、以前は柱に料理レシピを紹介されていたが、最近はやっていない。
  • まんがホーム(ホーム):古くからむんこ「らいか・デイズ」とおーはしるい「夫婦な生活」の2枚看板で固めて、あとはタイファミも読んでいるような主婦向けな作品が多かった(うえだのぶ鵜飼U子など)が、宮原るり恋愛ラボ」が始まり、以降、橘紫夕神堂あらし仙石寛子が登場したあたりからそのバランスがどんどん崩れていき、現在はファミリー系、萌え系、レディコミ系作品が一緒くたになって、かなり混沌としつつも不思議と安心して読める状況になっている。個人的には芳文社の中では一番おもしろい雑誌。
  • まんがタイムスペシャル(タイスペ):「恋する乙女応援マンガ誌」と銘打って、女性向け恋愛4コマをメインに扱っていたのも今は昔。まんがタイムきらら黎明期から同誌での連載作品や同誌で執筆経験を持つ作家を投入してきたおかげで、今では執筆陣の大半がそれらで固められている。とはいえ、ファミリー系4コマ誌と並行して連載してきた作家が多いので、旧来のファミリー系読者と初期からのきらら読者向け雑誌と言えばいいか。
  • まんがタイムジャンボ(ジャンボ):昔はもっと少女漫画テイストだった記憶があるが、今はその面影は微塵もない。重野なおきが巻頭と表紙を飾り、大乃元初奈弓長九天がいるから、かろうじてファミリー系の体裁をまとっているが、全体的な雰囲気はきらら(個人的にはMAXあたり)に限りなく近い。きららグループ誌をひととおり読んできて、きららのメディアミックス路線に疲弊した読者のファミリー系への呼び水として今後も展開していくのだろう。
  • まんがタイムラブリー(ラブリー):現時点で、最もエポックメイキングな事と言えば、この雑誌の大胆すぎるほどのリニューアルだろう。女性層でも若い層のみならず、ボーイズラブを愛読するいわゆる「腐女子」をターゲットに含めたことが何よりも大きい。そもそも腐女子は自らそうであることを言わない(と、王嶋環「腐道」でもその点が語られている。)し、ボーイズラブが「耽美系」だの「やおい」とか言われていた時代からの読者もいると考えたら、潜在的なマーケットは相当のものと考えられる。さて、どうなるか。

オチは、ない…。