楽園 Le Paradis 6号

楽園Le Paradis 第6号

楽園Le Paradis 第6号

楽園 Le Paradis」なるアンソロ(以下、楽園)を知ったきっかけは、水谷フーカがそこで描いている事を作者のサイトで知ったことか。で、たまたま市内の本屋にあったので読んだ訳だが、4コマほど俺の琴線には触れなかったので、以降スルーしていた。
それからしばらくして、仙石寛子web楽園なる楽園のネット上での増刊に書き出したので読んでみる。お得意の姉弟もので、いつもの危うさにフェティシズムっぽい要素も加味されて、再び楽園に興味を抱きだす。しかし、置いてあるのがレディコミのコーナーゆえ、そこに30代のおっさんが立ち読みする光景は明らかにおかしすぎる、いやむしろキモがられるのは火を見るより明らか。結局買うには至らぬまま、売切れてしまった。楽園を置いているのは市内ではその本屋だけなのだ。
予習も兼ねて、シギサワカヤ二宮ひかるの楽園に掲載された作品が収録された単行本をamazonで買う。
誰にも言えない

誰にも言えない

アイであそぶ。―二宮ひかる作品集

アイであそぶ。―二宮ひかる作品集

つめたく、あまい。

つめたく、あまい。

下世話な感想だが、性描写が盛り込まれた、大人向けの恋愛ものだな、と。シギサワカヤコミックエール!でも描いていた作品も読んでいたが、本来はこういう感じだったのか、と。サイトの作家陣を見て、楽園はコミックエール!をブラッシュアップさせ、レディコミ寄りにした雑誌という想像に至る。具体的には性描写を取り入れて、萌え系だけでなく、レディコミ作家や、青年誌に描いていた作家も採用したことか。
他の漫画も読んでみたくなり、バックナンバーを取り寄せようとしていた矢先に、楽園に仙石寛子が2作品掲載するという情報がサイトに出る。性描写を用いずとも、エロティシズムを醸し出すのを得意とする作者だが、明らかに同衾にいたったという表現は今まで描いたことがなかった。これまた下世話だが、ひょっとしたらそういう部分を描くかもしれないという期待もあって、Amazonで予約してまで買ってしまったのだ。
そして指折り数えて、仕事に多少の支障をきたしつつ(あかんがな!)届いた楽園。早速読んでみましたら…えぇー、ネタバレなど無粋なことはいたしやせんが、仙石寛子、リミッターが完全に解除されていましたw。芳文社でできなかったことが見事に果たせています。一本は宿願だったBL4コマ。もう一本は姉弟ものストーリーで、一歩踏み込…おっと、これ以上はやめとこう。
一通り読んだわけだが、俺の想像とはかなり違っていて…なんていうか、レディコミ版「ガロ」です。逆柱いみりを髣髴させるkashmirや、竹田昼や沙村広明あたりはもろにガロ系だし、実際にガロで連載していたあさりよしとおがいる事も起因するが、つるつるした表紙とザラっとした紙とのさわり心地や、そのザラっとした紙に黒をきつめにムラのない印刷状態なんかが、かつてのガロっぽい印象を受けた。
内容もしかり。恋愛ものをメインにしているけど、男女はもちろん百合、BL、近親、SMとなんでもあり。絵柄もいかにもレディコミなアクの強い絵柄だったり、先述したようなガロ系…今だったら、アフタヌーンあたりに載っていてもいいような絵柄(平方イコルスン日坂水柯など)もきらら系(志摩時緒)もある。性描写もレディコミなので、「セックスは恋愛を維持するためのプロセス」という女性向けエロ(という俺なりの解釈なんだが、果たして当たっているのだろうか。)に則ったものの方が多いが、男性向けエロにありがちな「セックスが恋愛の最終目標」のように描いたのもある。
つまり、かなり混沌としている。個性の強い作家を結集させ、オフビートな作品を描かせる。まさにガロだ。これは女性だけに読ますのはもったいない。案の定、はまってしまった俺であった…。