猫山宮緒「エデンへおいで」

猫山宮緒「エデンへおいで」全4巻読了。1巻の膨大なテキスト量は監督のドラマトゥルギー哲学に終始していて、それに対して主人公や共演者が対立したりするが軽くいなされる…てな感じの展開に1巻はなっている。しかし、話が進むにつれて、テキスト量はどんどん削られていくのがわかる。主人公が女優として成長し、演技で周りを納得させていくにつれてそうなっていったのだろう。そこには主要キャラのへヴィな過去や人間関係、主人公の恋(それほど重要でなくすぐ破綻。演技に対する情熱が恋愛感情を凌駕してしまったからだろう。共演者の中には逆を行ったものもいるが、ネタバレなので詳細は書かない。)などが絡んでいくが、それらがまさしく「芸の肥やし」になっていき、主人公は異常なまで説得力を持った「眼力」を身につけていくのである。
本編は伏線が整理されていない部分が多々あり(主人公のトラウマの原因たる父親が登場しない、ライバルと監督の人間関係…ネタバレなので詳しく書かない…、父親と監督の関係も匂わす所もあったりする…)、撮影していた作品がクランクアップし、放映されるところ(それは次作「フライング・ドラゴン」となる)で終わっている。しかし「今日もみんな元気です」に比べたら、続きへの渇望感はあまりない。
作者も続きを書く意思はあったようだが、現在活動休止中。末期の頃にジャニーズ提灯漫画を描かされて、嫌気がさしたせいだというが…?ただしソースは2ちゃんねる